放課後コイ綴り
「でもわたし、彩先輩に決めてみて欲しいです」
「ふみー! さっすが! 愛してるよ!」
だってわたし、彩先輩の感覚、すごく好きなんだもん。
わたしにはないものだから、面白いんだ。
わくわくしながら先輩を見つめる。
「んー、『あみ』なんてどう?
『あいはらふみ』だから『あみ』!
そんで一条は『カナ』ね」
「安直」
ぼそりと一条くんが吐き出した言葉に彩先輩が「なんだとー⁈」と叫んでいる。
わーわーと盛り上がって楽しそう。
あの言葉数の少ない一条くんとこんなにやりとりできるなんて、一種の才能だよね。
「……あみ」
あみ。
わたしの、もうひとつの名前。
命を吹きこまれたペンネームを口にして、ふふっと小さく笑う。
「わたし、あみにします!」
にこにこ。
笑顔を浮かべながらそう言えば、彩先輩が表情を明るくする。
きらきらと瞳の中の呼吸が、とても綺麗。