放課後コイ綴り
瞬きのように一瞬で、それでいて永遠のような時間。
わたしを見つめた一条くんが重たいため息を吐き出した。
「俺も、カナでいいです」
一条の言葉にわたしは目を丸くする。
彩先輩はにやにやと笑いながら、とても嬉しそう。
「一条がカナとか、女の名前みたい!
かっわい〜!」
「うるさいです」
「うるさい言うな!」
このあと、彩先輩は他の先輩方にも大人しくしてろって怒られて。
リレー小説はわけのわからないヘンテコなお話になって。
笑って騒いでどきどきして。
楽しかった。
────楽しかった。
部室に来れば大好きな先輩が抱き締めてくれて、おしゃべりして、先輩と一条くんのかけあいが面白くて。
毎日が本当に幸せだった。
だけど、月日は流れるもの。
3年生は卒業した。
学年がひとつ上がってもわたしたちに後輩ができることはなく、失うだけ。
そしてとうとう、彩先輩たちも。