放課後コイ綴り




部室のうしろの黒板。

そこは文芸部員たちが卒業する時に記念として残していった言葉が綴られたまま。



それは伝統のようなもの。

わたしたちの知らない先輩たちの言葉もあって、かすれて見えないところが多々ある。



詩だったり、小説のフレーズだったり、ペンネームだったり、はたまた名言だったりとなんでもありで。

まとまりのないそれらが、逆にしっくりくるの。



彩先輩たちも過去の先輩方と同じように黒板に書きこんで、チョークをことりと置く。

手を払った拍子に白い粉がぱらぱらと落ちていった。



背を向けたままの彩先輩。

ぴくりとも動かないままで、気になったわたしはそっと彼女を呼ぶ。



「彩先輩……?」



くるりと身を翻す。

振り向いた彩先輩は、泣いていた。



驚きのあまり言葉を失い、目を見開く。

そんなわたしを見たら、いつもなら慌てているはずの彼女がただ顔を歪める。

そしてぽつりと呟いた。







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