放課後コイ綴り
少し古いコピー機が大きな音を立てる。
印刷した紙を次々と吐き出して、ストッパーがそれを受け止める。
500枚ずつ束ねられたB4の紙の束の封を切った。
真新しい紙の香りがする。
嫌いじゃない……ううん、むしろ慣れた、ほっとする香り。
年が明けて、今日は始業式。
それを終えてからすぐ、部活動の一環として年に5回発行する部誌の印刷をしている。
今回の部誌は卒業記念の最終号になるもの。
さっき顧問の先生に内容のチェックをしてもらい、B5サイズに印刷してもらったものを受け取った。
それを部誌の形になった時にずれができないように気をつけて、ページをふり入れる。
そしてB4の紙にコピーしていく。
原稿は冬休み中に書いておいたもの。
お互いにいつもの作風どおり。
わたしは恋愛モノ。
今回は一条くんに見繕ってもらった妖精の載っている本を参考にした、現代ファンタジーでもある。
人間と妖精の種族違いの恋を描いたんだ。
そして、硬めのしっかりした文体で綴られる、一条くんらしい純文学よりの作品。
わたしには書くことのできない丁寧で難しいお話。
印刷の前に誤字がないか確認しつつ読んだけど、今回もすごく面白かった。