放課後コイ綴り
カシャン、とホッチキスを机に置く音が響く。
はっと顔を一条くんの方へ向けると、ちょうど彼が立ち上がるところ。
「手伝う。今ホッチキスできる分、終わったから」
彼が、驚いた表情をしたわたしのうしろにつく。
役割分担をしていたはずなのにわたしが遅いせい。
一条くんはまた紙を重ねる作業をしないといけなくなってしまった。
「あの、ごめんね」
ぺら、ぺらり。
紙をめくり、また重ねていきながら、謝罪の言葉をこぼす。
ああわたし、一条くんに謝ってばかり。
……迷惑かけてばかり。
「大丈夫」
その言葉に誘われるようにうつむきがちになっていた顔を上げた。
ちらりとうしろを振り返り、一条くんを見る。
いつも通りの声のトーン、表情。
なにも変わらない一条くん。
それでも、自然と息が詰まる。
彼が本心からそう言ってくれていることがわかるから。
その優しさがわたしを包みこんでくれる。
「……ありがとう」