放課後コイ綴り




1枚めくっては1歩前へと進み、そしてまた次のページの紙を手に取る。

その単純作業を繰り返せば、手の中の紙の束が厚くなっていく。



背後に感じる一条くんの気配に胸が高鳴り焦げついてしまいそうなほど。

簡単に意識が持っていかれる。



「一条くん」

「ん?」

「もうすぐ部誌、できあがるね」

「そうだな」



完成なんてこなきゃいいのにね。



のどの奥に言葉が詰まる。

……これは、言えない。



一条くんとの会話はまるで通り雨のよう。

ぽつぽつと、気まぐれに言葉が頬を撫でて行く。



それが嬉しくて、次第に大切なものになって。

わたしはそばにいるだけで幸せだった。

会話はなくとも、本当に……幸せだったの。



わずかに低く、静かに響く声が好き。

ふとした瞬間の仕草が好き。

ときたま自然に浮かぶ笑顔が好き。

彼から生まれる美しい言葉が好き。



一条くんが、こんなにも、大好き。






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