放課後コイ綴り
過去の部誌を積み上げた机を前に、わたしはふぅ、と感嘆の息をこぼす。
自分の身体中を言葉が駆け回る。
まるでわたしという存在に染み渡っていくよう。
ぐずぐずに身体が溶かされて、そしてもう1度形作られる。
天使が生まれるような、そんな清廉な空気を感じた。
静かに部誌を閉じるも、気づいた彼はわたしに視線を向ける。
「読めた?」
「あ、うん」
「じゃあ感想会、始めるか」
2月半ば。
今月唯一の登校日。
2月15日とバレンタインを狙ったかのような今日は、卒業式の予行と本番を除いて、最後の日。
────最後の、部活の日。
午前中は卒業判定で引っかかった人たちの追認考査があり、午後から登校した。
卒業歌の練習なんかを済ませたあと、本当は学校に残っていていいのかなんて知らない。
だけど、部室の整理が終わっていなかったからなんてそれらしいことを言って部屋を使っている。
言ったからには帰る前にはちゃんと掃除もするつもり。