放課後コイ綴り
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解説
今、この瞬間、胸いっぱいに広がる甘酸っぱくもほろ苦い感情。
そう、これが青春なのだ。青春だったのだ。
デビュー作からひいなさんの作品を追ってきた身としては、今回の作品は新しいなという印象を抱きました。
恋愛を扱うことの多い作家さんですが、これほどまでにメインに据えているのはデビュー以来。ですがデビュー作とは違う。
もっとそばにいたい、もっとこの時間が続いて欲しい、もっと、もっと……。
ふたりの気持ちが言葉のひとつひとつからにじみ、伝わるようでした。
ずいぶん昔のようで最近のような気もする、過去に置いてきたような感情が作中にはあった。まだ、息をしている。
つらいだけではないからこそ、これほどまでに胸を打たれ、他の道はなかったのかと考えて心を寄せてしまう。
彼女らしい言葉遣いの中に、今までにない心に絡みつくような後悔を痛切に感じました。
と言うのも、作中で文芸部に所属している主人公たちは、自身が描いた作品の冒頭の頭文字に自分たちの想いを隠している。
〝すき〟〝おれも〟繰り返されるやりとりに気づいた時、そのいじらしさと幼さに心が甘く痺れるのです。
その若いふたりの姿に、自分の過去を思い出した人は少なくないでしょう。
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