たとえば呼吸するみたいに
身を起こしておいおいと泣く真似をし、顔を手で覆う。
悠里には効果はない! 悲しい!
あたしのひとつ前の席に腰かけ、すらりと伸びた足を組む彼女。
白くて細い、美しい足を見せびらかして、なんなんだこいつは!
まったくもう、と思いつつもすがるように視線をやる。
「優しくもなにも、そんなひどいこと言ってないのに」
「まさかの無自覚」
あたしの周りの人は口が悪すぎるよね。
あたしの心のダメージはもうどうにもならないくらいなんですが。
やってらんないよー!
誰かメンタル医療班ー!
悲しみに暮れつつも変な方向に暴走するあたしを気にかけず、悠里はふと零れたように言葉を吐き出す。
「それにしても、わからないわ……」
軽く首を傾げた悠里の髪がさらりと揺れる。
まじであたしのことは無視か。
「もー! なんのこと?」
真似をしてみても、うわー。
あたしの髪はちっともさらさらーってしない。辛い。
この格差はなんなんだ。
まぁあたしの髪はお団子にしてるから当然っちゃ当然なんだけどさ。