たとえば呼吸するみたいに




「どうして……?」



さすがお姉さま。

あたしの元気そうに見えて、いつもより落ちこんだ姿に気づいちゃった悠里がわずかに心配そうな様子になる。



「大庭が好きなんでしょう?」



その問いを噛み締める。

うん。……うん、そうなんだよ。



「好きだよ。
いっぱい、いっぱい大好きなんだ」



玲の素敵なところ、大好きなところ、挙げていったら切りがないよ。

だってあたしには釣り合わないくらい、玲ってば最高の幼馴染だから。



「なら、」

「でもダメ。
言ったら、あたしたちの今の関係は壊れちゃうもん」



彼の隣に立つことが許される、幼馴染。

なんて魅力的で、切ないんだろう。



「咲姫……」



あたしの名を呟く悠里。



ごめんね、いつも気にしてくれてありがとう。

大丈夫だよって応援してくれてるの、本当に嬉しいんだよ。

でもね、あたしは怖いんだ。



「好きなんて言って、玲を失うのが怖い。
どうしてもできないよ」






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