たとえば呼吸するみたいに
「おれ、決めたんだ!」
「なにを決めたの?」
あたしの元に駆けて来た玲がイイ顔をして、仁王立ち。
高々と宣言する。
「ヒメはおとぎ話のお姫様みたいだから、おれはヒメの王子様になる!
そうしたら結婚できるよ」
そう言って、玲はそりゃもう得意気に笑った。
「結婚?」
「うん! 結婚したらずっと一緒にいられるんだって」
ずっと一緒。
今でもあたしが求めている、それ。
その玲の提案は素晴らしいものに思えて、さらに玲とあたしの願いが同じだったことがすごく嬉しかったんだ。
「うん!
ヒメ、れーくんと結婚したい!」
満面の笑みでそう言えば、玲も嬉しそうに笑う。
小指を絡めて、おでこをコツンとくっつけた。
「約束だよ」
「うん、約束!」
それは、懐かしい、とても懐かしい記憶。
意味もよくわからないまま交わした結婚の約束は、あまりにも幼くて。
そしてとびきり幸せだったね。
柔らかな思い出は、あたしにとっても玲にとっても。
ただ、優しかった。
だけど、あたしの本当の願いは、なりたかったのは────、