たとえば呼吸するみたいに
*
「ぅぐ、」
ぼふっ、と顔になにかが当たる。
その衝撃であたしはぱちりと瞳を開けた。
視界を覆うなにかのせいで、目の前は真っ暗。
慌てて顔の上のものをよける。
「……ブレザー?」
えーっと、なんだこれ?
どうしてこんなものがあたしの顔に。
しかもこれ、おっきいし、明らかにあたしのものじゃない。
内心、首を傾げていると、
「起きろバカ」
すぐ近くに玲が立っていて、あたしが寝転がっているのは彼のベッド。
寝起きでぼーっとしていた頭がはっきりしてくる。
「人の部屋で寝てんじゃねぇよ」
ああ、そっか。
あたし、玲の部屋に来たのはいいけど、玲がいなかったのをいいことに、そのまま寝ちゃってたんだ。
委員会で遅くなるからと先に帰らせたはずの幼馴染。
それが自分の部屋にいるならさすがに慣れたもんだけど、ベッドにいるんだもん。
そりゃまぁ驚いたよね。