たとえば呼吸するみたいに








「ぅぐ、」



ぼふっ、と顔になにかが当たる。

その衝撃であたしはぱちりと瞳を開けた。



視界を覆うなにかのせいで、目の前は真っ暗。

慌てて顔の上のものをよける。



「……ブレザー?」



えーっと、なんだこれ?

どうしてこんなものがあたしの顔に。



しかもこれ、おっきいし、明らかにあたしのものじゃない。



内心、首を傾げていると、



「起きろバカ」



すぐ近くに玲が立っていて、あたしが寝転がっているのは彼のベッド。

寝起きでぼーっとしていた頭がはっきりしてくる。



「人の部屋で寝てんじゃねぇよ」



ああ、そっか。

あたし、玲の部屋に来たのはいいけど、玲がいなかったのをいいことに、そのまま寝ちゃってたんだ。



委員会で遅くなるからと先に帰らせたはずの幼馴染。

それが自分の部屋にいるならさすがに慣れたもんだけど、ベッドにいるんだもん。

そりゃまぁ驚いたよね。






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