たとえば呼吸するみたいに
ごめーん、と軽く謝ると「これだからヒメは」と玲が重たいため息を吐き出す。
そしてそのままネクタイを緩め、シャツのボタンを外し、と着替え始めた。
……と思いきや、ぴたりと動きを止めてあたしを凝視してくる。
なになに、すっごい視線突き刺さってんだけど。
視線が痛いんだけど。
むしろもう空気が!
「……出て行こうとしないのな」
「え、なに。出てけって?
やだよ、面倒なんだもーん」
くるりと玲に背を向ける形に寝返りを打つ。
目の前には壁で、着替えなんて見えない。
ほら、これでもう覗きじゃないから大丈夫!
「スカートの中見えそうなんだよ、このバカ」
そう言って、あたしの手の中から玲のブレザーを奪うと、腰のあたりにふわりとかけてくれる。
もう1度ため息を吐いた気配を感じつつも、絶対動かん! とベッドに貼りつく勢いでいると、衣擦れの音。
肌と布が触れ合い、こすれていることがよくわかる。
シャツが落ちて、部屋着のTシャツを身に着けて。
下もいつものスウェットに履き替えたに違いない。
さっきまでの夢と違い、彼はこんなにも生々しい音を立てている。
そう。
あたしと同い年の、17の、男なんだ。