たとえば呼吸するみたいに




姫那ちゃんの気持ちに気づかないはずがないと思いながら、知らずにいて欲しかったなんて。

勝手に本人のいないところで好意を遠回しに告げてしまうようなことをするなんて。

それでいて、付き合わないとはっきり言って欲しかったなんて。



────あたし、最低だ。



ああ、うん。そうだよね。

だからきっと、玲は今少し怒ってるんだ。



自分の気持ちを誤魔化して、彼に伝えようとはしないのに、こうやって裏から手を回そうとしたから。



唇を噛み締めて、痛みを感じるより先に涙が滲みそうになる。

後ろ、振り向けなくなっちゃった。



「ううううう」



バカバカバカ。

ほんっとあたしってバカ!

救いようのないバカ!

いっぺん死ねバカ!



「ったく……」



玲の呆れた声に肩がびくりと跳ねる。

それでもあたしは、



「き、嫌いになっちゃやだからね……っ」



自分のことばっかりだ。






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