たとえば呼吸するみたいに

頑張って！ とはしゃぐひとりと、恥ずかしそうなもうひとり……姫那ちゃんの言葉にあたしは体の力が抜けていくのがわかった。



「最近ね、前より大庭くんと話すようになって。それでやっぱり大好きだなぁって」

「うん」

「その、彼女になりたいなぁって思ったんだぁ」



えへへ、と笑う気配さえも可愛くて、心臓を掴まれたみたいにどきどきする。

甘い恋とは違う、そのどきどきが怖くてたまらない。



「えーもう、姫那ってば乙女だねー。
可愛いっ！」

「や、やだぁ、やめて。
乙女とかそんなんじゃないよーっ」



これが姫那ちゃんじゃなかったら、あたしも可愛いと素直に思ったのに。

関係ない人とのことなら、うまくいったらいいなと自然に思うことができたのに。



なのに相手が玲となると、無理なんだ。



「姫那なら、きっと大丈夫！
応援してるね！ 頑張れ！」

「ありがとう。
わたしの気持ちうまく伝えられるよう頑張るね」