たとえば呼吸するみたいに




「泣くなよ、ヒメ……」



困ったように玲はかすかに首を傾ける。

頬を、髪を、かすめるそのぬくもりを、手放したくない。



「玲は姫那ちゃんと付き合うの?」

「っ、」

「や、だ。あたし、やだよ……っ」



一生隣で歩いていきたい。

そばにいたい。

あたしの1番は玲で、玲の1番もあたしがいい。



たとえ、なに言ってるんだって世界中の人に笑われたって気にしない。

バカなこと言うなって怒られたって関係ない。



玲がいなきゃ辛すぎて死んじゃうって。

息ができずに死んだ方がましだって、本気であたしは思っているんだ。



だから本当は言っちゃだめだってわかってたのに。

なにもかも終わっちゃうって知ってたから我慢してたのに。



なのにあたしの冷静な部分が、リミッターが弾け飛んで、






「あたしと付き合って」






今度は外されないようにさっきよりずっと強く腕を掴んで、すがりついて。

彼の顔を覗きこんだ。






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