たとえば呼吸するみたいに




「謝んなくていい。だって俺たちは、これからも変わらないんだから」



変わらない。

そんなはず、ないよ。



あたしたちの、本当の気持ちは露見した。

互いに言わなくて、だけど誰より知ってた相手の気持ちは明るみに出た。



声に出した。

言葉にした。

……もうおしまいだよ。



「変わらない……変えない。
俺がそう言ったらそうなんだよ」

「なんでそんな勝手なこと言うの。
無理に決まってるのに!」



期待させないで。

不変を望んで、間違えて、今から幼馴染さえ失おうとしているあたしにそんなの言っちゃだめだよ。



睨みつけるように見上げれば、玲の瞳がつられたように鋭くなる。



「お前こそ勝手なこと言ってんじゃねぇよ!」



大きな声を出して、怒鳴って。

なのに……震えた声。



「幼馴染、やめんなよ。
俺たちは、幼馴染のままでいいんだよ」

「……っ」

「無理なんて言うな」



すがるように、玲はあたしの肩に頭を乗せる。

伏せた顔は見えないけど、それでも苦しんでいるのはわかった。






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