たとえば呼吸するみたいに




うん、うん、と何度も頷く。

涙の雫が宙を舞って、まぶたから離れる。



声を上げて泣くあたしを玲はぎゅうぎゅうと強く抱き寄せた。



耳元で泣き声をあげるあたしがうるさいだろうに、その点については文句も言わず。

それでいていつものように「バカ」と言いながら、彼も少し泣いていた。



ごめんね。

うるさい。

バカ。

ありがとう。



たくさんの取りとめない感情を外に出すように、言葉を口にした。

大好きだよって、小さく叫んだ。



そうやって子どもの頃と同じようにふたりで傷つけ合ったあとは、謝って。

お互いに傷を癒して。










あたしは、玲に恋する幼馴染のふりを、やめた。






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