たとえば呼吸するみたいに
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いつも通りの、朝がきた。
お母さんの作ったご飯は手作りのクロワッサンに、やけにおしゃれな紅茶だった。
あたしのお母さんの女子力が高すぎてちょっと困っちゃうよ。
一見クールなのに、中身女の子だからね。
こんな洋風の朝ごはん、似合わないし食べたくないんだよ!
まぁ、おいしいから食べちゃうけどさ!
でもあたし日本人!
白米プリーズ!
日本ノ心、ドコデスカー!
「ちょっと咲姫、時間ぎりぎりだけど平気なの?」
「はっ!」
そうでした。
パン派のお母さんに負けることなんて毎日のことなんだから、諦めて学校行かないと。
制服を身に着けて、濡らした手でお団子頭を作りあげる。
悩んだ末に、いつもの白い花柄のシュシュをつけた。
あまりにも似合わなくて、可愛くて。
だけど毎日着けていたせいでこれがないと落ち着かない。
無理に変わらなくていいなら、自然に変わる日まで。
玲を繋ぎとめるために必死だった習慣も、以前とは違う意味の〝そのまま〟で。
うん。
……うん、きっと、これでいい。
「行ってきまーす!」
「はい。気をつけて」
小さく笑ったお母さんに手を振って家を飛び出した。