たとえば呼吸するみたいに



みんなには理解されないことかもしれないけどね。

昨日みたいに恋人のような距離感で。

恋情を抱いた者と恋情を抱けなかった者が、すがるように慈しむように惜しむように、抱き締め合う。

そのことは、あたしたちにとってはおかしなことじゃなかった。



そんな風に子どもの頃からずっと。

悲しいことも嬉しいことも、あたしたちはなんだってわけ合ってきた。



友だちと喧嘩した悲しさも。

お母さんにプリンを食べられた憤りも。

テストで100点を取った嬉しさも。

初恋の切なさも。



なんだって覚えている。

あたしは君のことならなんでも知ってるし、君はあたしのことならなんでも知ってるよ。



あたしたちのその時間は消えないんだ。

そしてこれからも続くんだ。



それは、玲の優しさと、あたしの好きって気持ちがあって。

なにより、とびきりバカなあたしたちふたりだから。



だからこれからもきっと……大丈夫なんだ。






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