無口なセンパイに恋した仔羊
「分かった、分かった。そう興奮しないで、飲みなさいよ」

そう言って、コップにビールを注ぐ小春。

明日がまた、仕事があるという事も忘れて、お酒を飲みまくった私は、酔っ払いと化した。

…ゴメンね、小春。酔っ払いの介抱させて。

…それから、どうやって家に帰ったのか、いつ、ベッドの中に入ったのか、全く記憶がない。

…携帯の目覚ましが鳴り、痛い頭を押さえながら、それを止めようと手を伸ばし…

…たいのに、伸ばせないのは、なんで?

私の右手は何かにぎゅっと掴まれて、動かす事が出来なかった。

「…ん?…ん⁈…ッ!頭、痛〜」

なんとか、重い瞼を開けた、私の目に映ったのは、見覚えのない、黒髪の頭。

驚いて起き上がったはいいけど、二日酔いの頭に響きうずくまる。

…この人誰?

…なんで、こんなところで寝てんの⁈

…しかもなんで、私の手をぎゅっと握ってんの⁈

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