無口なセンパイに恋した仔羊
…進藤さん、帰ったのかな。オフィスに姿がない。

私は深い溜息をつくと、フルフルと頭を振って、仕事に取り掛かった。

…それから1時間後。無事に終了。

「…帰ろう」

デスクの上を片付け、席を立つ。

「…あ、まだ、いたんだ」
「…綾人さん」

書類の束を抱えた綾人さんが、入って来た。

「俺も今終わったところなんだ。一緒に、晩飯でもどう?」

「…えっ」

「…この前の返事も聞きたいし」
「…ぁ」

…そうだ。綾人さんに、返事、しなきゃ。

「だから、ね?」
「…は「…ざけんな」

「…は?」「え?」

返事をする前に、誰かの声が重なった。
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