無口なセンパイに恋した仔羊
…なんの会話もないまま、店内に入り、指定された席に座って、渡されたメニューを見て、目を見開く。

…『財布が空になると思え』

そう言われた意味が分かった。…ものすご〜く高い。

…チラッと進藤さんを見るといつもみたいになんでもない顔で、メニューを見ていた。

…散々迷惑かけたんだ。これくらい!…と、思うことにして。

「…進藤さん、好きなのどうぞ」
「…ん」

間もなくして来た店員に指でメニューを伝えている。

「…新垣は?」
「…え、あ、同じものを」
「…じゃあ、それを、2人分」

「かしこまりました」

…2人きりになり、また沈黙する。どうしていいか、わからない。

…綾人さん、どうしたかな。

「…綾人の事は、気にすんな」
「…⁈」

…エスパーかこの人は。
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