無口なセンパイに恋した仔羊
「…ほらきた。さっさと食え、腹減った」

「え、はい。…いただきます……ん⁈
美味しい〜」

もぐもぐしながら満面の笑み。

それを見て、進藤さんがプッと吹き出した。…こんな顔して笑うんだ。

そう思っていると、ニュッと私に手を伸ばした進藤さん。

その指は、私の口の端を優しく拭った。思わず目を丸くする。

「…ソースついてた」
「…ぁ、ありがとう」

…たぶん、耳まで赤い。ん〜、もう!食べよ、食べよ。

私はとにかく、食べる事に集中した。

…終始、進藤さんに笑われていることに気づかなかったんだけど。

…会話はなかったけど、美味しい食事は堪能した。そして、いざ会計。

私は財布を取り出して、その中からカードを出す…え?

なんで、進藤さんが払ってるの?
< 19 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop