無口なセンパイに恋した仔羊
今日も、夜遅くまで、会社で仕事をしていた。

…午後9時。1人のオフィスに、誰かが入ってきた。

その人を見て、ドキッとする。ここ何日も、一緒に居るのに、一番近くて、遠い人。…進藤さん。

私は直ぐに目線を逸らし、仕事を始めた。

…。

でも、その手は間もなくして止まってしまう。

…進藤さんが、私のおでこに手を当てたからだ。

「…今詰め過ぎだ、ばか」
「…は、離して」

手を払いのけようとしたが、手に力が入らない。

「…帰るぞ」
「…いや」

「…座ってるのも、やっとのくせに」

そう言うと、勝手にデスクの上を片付けると、私のカバンを持ち、手を引いた。

「…放っておいてください」

そう言ったものの、身体の力が抜け、床に座り込んでしまった。
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