無口なセンパイに恋した仔羊
「…いい加減にしろよ」
「…」

自分の体調の変化にも、気づかなかった。

立てないでいる私を、軽々と持ち上げた進藤さん。

…抵抗しようにも、そんな体力はもうなかった。

自分がどれだけ高熱なのか、今頃になって気づく。

…私って、つくづくバカなんだと思う。

…進藤さんに、迷惑かけて。

本当に、自分が嫌になる。

…間もなくしてついた部屋。意識朦朧とする中、うわ言の様に、進藤さんに呟いていた。

「…進藤さん、嫌いにならないで。
…進藤さんの事、大好きだから。
…私には、進藤さんしかいないの」

涙が止まらないのは、身体がしんどいせい?それとも、想いが伝わらないせい?

…今の私には、そんな事を考える余裕すらなかった。

…進藤さんが、私を何時までも抱き締めていてくれる事も気づかないまま、私は意識を手放した。
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