無口なセンパイに恋した仔羊
「恐縮しすぎだ、バカ」
「・・・ッ」

…優し目ではあったけど、進藤さんはデコピンするのが好きらしい。
困った人だ。


…間もなくして、出来あがったおかゆを運んでくれた進藤さん。

「…ありがとうございます。…ところで、進藤さん仕事は?」

上目遣いに問いかける。

「・・・ん?…有給取った」
「?!」

「そんな事いいから、ほら、あ~ん」
「?!!…い、いいです。自分で」

「座ってるのもやっとのくせに、無理すんな・・・ん」

動揺する私に、冷ましてくれたおかゆを口に運んでくれる。

・・・戸惑いながら、それを一口。


「・・・おいし」
「…この調子だと、食事もろくに食ってなかっただろ」
「・・・・」

図星だったので、返す言葉もなかった。

「…新垣」
「・・・はい?」


「お前の事好きだよ」
「ゴホッ!…ゴホゴホ」

突然の告白に驚き、おかゆが器官に詰まり、咳込んだ。

「バカだな」
そう言いながら、私の背中を擦る進藤さん。

…誰のせいですか?
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