無口なセンパイに恋した仔羊
「…あの、今のどういう意味」

何とか落ち着いた私は、進藤さんに問いかける。

「…お前の本気の気持ち聞いたから」
「・・・・へ?」

…私がいつ?全く身に覚えがありません。


「昨日の夜、何度も、お前の口から好きだから嫌いにならないでって聞いた」
「?!!」

・・・ちゃんと伝えなきゃとは思っていたけど、意識朦朧としてる時に、言っちゃったらしい。
私の顔は、真っ赤になっていた。

「…また熱上がってきた?」
「///!!」

コツンと当てられたおでこ。さらに、顔は赤くなっていく。

「やっぱりまだ熱ある…これ食べたら、もう少し寝てろよ」
「・・・」

…この人、自分の言ってる事も、やってる事もきっと無自覚なんだろうな。そう思った。


おかゆを食べさせ、薬まで飲ませてくれた進藤さんは、ゆっくりと、立ち上がる。

「オレ、リビングで仕事してるから、何かあれば呼んで」
「・・・ありがとう」

…静かにしまったドアを見つめる。

…進藤さんと、両思いになれた・・・んだよね?

熱のせいで、また変な夢でも見てるんじゃないかと思ってしまう。

…進藤さんに言われた通り、また熱が上がって来たのか。

私はまた、いつの間にか、眠っていた。
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