無口なセンパイに恋した仔羊
…たくさん寝たおかげか、熱も下がり、気怠さも、ほとんどなく目が覚めた。

目を開けて、思わず悲鳴を上げようとして、咄嗟に口を押さえた。

あろう事か、進藤さんを抱き締めて眠っていたようで。

目の前には、進藤さんの綺麗な寝顔があって。

逃げ出そうかと思ったけど、進藤さんも私を抱き締めて離してくれない。

寝ているはずなのに、力強いな、と、変に感心したりして。

…でも、昨日の出来事が、夢ではなかったと確信できて、嬉しくなった。

「…何、百面相してんだよ」
「ひっ‼︎」
「…」

驚いて悲鳴をあげると、進藤さんは怪訝な顔で私を見た。

「…お、おはようございます。…あの、離してもらえますか?進藤さんのおかげで熱も下がりましたし、帰ろうかと」

「だめ」
「…」

即答され、困り果てる。
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