無口なセンパイに恋した仔羊
「…ひゃっ」

キョトンとした顔で進藤さんを見ると、突然ぎゅっと抱き締められた。

「このままずっと離したくないんだけど」
「…進藤、さん?」

「…ずっと、新垣に、好きだって言いたかったんだ」

「…う、そ」

…いつ、から?…進藤さんが、私の事を、好きだった?そんな素振り一度もなかった。

「…でも、綾人の事が、好きなんだと思ってたから、言わなかった」

「…そう、見えました?」

「…一番仲良かっただろ?」

「…いい先輩でしたから、仲は良かったと思いますけど、他の感情はありませんでした」

きっぱりと言い放った。現にそうだったから。

「…昨日の、新垣の本心聞けたから、それは確信した。
…だから、もう綾人には、お前はやらない」
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