無口なセンパイに恋した仔羊
「あっ!」
バサバサ…。

片付けている途中、肘が書類の束にぶつかり、床に落ちた。

「あ〜、何やってんだよ」

苦笑しながら、綾人さんが近づき、書類の束を拾ってくれる。

「すみません」

気が抜けた。私は謝りながら、それを慌てて拾う。

「「…」」

同じ物を拾っているのだ。こういう事はある。…綾人さんと私の手が触れた。

私は、サッと手を引っ込めようとしたが、綾人さんに掴まれてしまう。

「…綾人さん」

困惑顔で、綾人さんを見た。

「…俺、やっぱ、美鈴の事、諦められない。どうしようもなく好きだっ」

「…ごめ…ひゃっ!」

突然視界が揺れた。
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