無口なセンパイに恋した仔羊
背中が、温かい物に包まれた。

ゆっくりと上を向くと、そこには、琉偉さんがいて、私をぎゅっと抱き締めていた。

「…これ、オレのだから」
「…琉偉」

「…いい加減諦めろ」
「…」

琉偉さんの言葉に、綾人さんは言い返す事もできなくて。

私から一旦離れた琉偉さんは、さっさと書類を拾い上げ、デスクに置くと、私のカバンを持ち、その場から、私を連れ去った。

…無言のまま、歩く琉偉さん。その背中は、なんだか怒っていて、声をかける事が出来ないまま、マンションに着いた。

「…えっ、あの!」

琉偉さんは、私を自分の部屋に引っ張りこんだ。

そして、中に入るなり、私をドアに追い詰めた。

「琉偉さ…ん!…ちょ…」

強引に私の唇を塞いだ。

息も絶え絶えに、それを必死に受け止める。
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