無口なセンパイに恋した仔羊
グシャッ…。手に持ったいた書類を握りしめた。

「…琉偉、お前らしくない。何で、美鈴にあんな事言ったんだよ?」

綾人に言われるのも無理はない。…仕事に私情を挟むなんて、あり得ない。

「…仕事に私情を挟むあいつが悪い」

ポツリと呟く。

「…仕事に私情を挟んでんのはどっちだよ?」

綾人に一喝されても、何も言い返せなかった。

…分かってる。美鈴は、真面目に仕事に取り組んでた。

…腹が立つのは、美鈴にじゃない。

それなのに、美鈴に八つ当たりしたオレは、最低だ。

…午後8時。

「琉偉、お前も帰れ。帰って美鈴に謝ってこい」

「…綾人」
「…美鈴を傷つけるな!お前だから、諦めたんだから」

そう言って切なげな笑顔を浮かべた。
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