絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
しばらくその場で痙攣していた夏子さんだったが、不意に体の力を失ったようにその場に崩れ落ちた。


「夏子さん!」


「……大丈夫よ」


夏子さんの意識はしっかりしている。


「立てますか?」


「えぇ、ありがとう」


夏子さんに肩を貸して立ち上がらせると、あたしたちはまたモニターの方を見た。


モニターには含み笑いを浮かべているスーツ男の姿がある。


あたしたちを見て、ずっとこうして笑っていたんだろうか。


そう思うと、怒りで爆発しそうだった。


みんな死んでいった。


外へ出られると信じて《奴隷部屋》から脱出したのに、太陽を見る事もなく死んでいった。


そんな人たちの気持ちなんて、きっとどうでもいいんだろう。


あたしや翔吾のようにここへ来る理由も納得できていない人だって、きっと沢山いるのに。


彼らには、そんな事関係ないんだ。


下位レッテルの者はすべて奴隷。


そういう認識なんだろう。
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