絶叫脱出ゲーム～奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ～①
あたしは優也さんの説明にただただ関心するばかりだった。


もい、万が一優也さんが２番目の投票者でなければ、そのことに気が付くこともなかっただろう。


こんな狭い室内でそれだけの事を瞬時に見極め、そして夏子さんと昭代さんを味方につけるなんて、天才だ。


「でも、どうして勲さんは優也さんたちの行動に気が付かなかったの？」


あたしがそう聞くと、勲さんは小刻みに震えながら泣きそうな表情になった。


「そりゃ気が付かないよな。自分が考えた事が一番だと思って、自分は生き残れると思い込んで、油断していたんだから」


優也さんが、勲さんの代わりにそう言った。


「くそ……ガキが！！　ナメやがって！！！」


優也さんの態度に逆上した勲さんが、再度優也さんに掴みかかろうとしたその時だった。


「決着がついたわよ！！」


昭代さんのそんな声が聞こえてきて、全員の視線がモニターへと向かった。


背を向けていた夏子さんも、恐る恐る振り返っている。


画面上では血まみれになった男がたった1人でコロッセオの中心に立っていた。


彼の拳は変形していて、骨が折れているように見えた。
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