絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
「なんだ、この投票結果は!?」


優也さんが画面を食い入るように見つめる。


スーツの男はニヤリと笑い、右下の画面を消してしまった。


もう少しじっくり確認すればなにかがわかりそうだったのに……。


「もしかして、誰かが俺の計画を裏切っていたのかもしれないな……」


「誰かって、どういう意味よ?」


そう言ったのは昭代さんだった。


優也さんの計画にのったのは昭代さんと夏子さん。


夏子さんが死んだと言う事は、裏切り者は昭代さんと言う事になる。


「どうしてそんな事をする必要があるの?」


流されてはいけないと思い、あたしはそう言った。


「次の部屋でも誰か1人を脱落させなければいけないかもしれない。それなら、この部屋でもう1人犠牲を出した方がいいって考え方もできるだろ」


優也さんが真剣な表情でそう言う。


でも……あたしの心にはなにか引っ掛かりを感じていた。


何か重大な事を見落としている。


この空間にいることで頭は混乱し、正常にかんがえる事が難しくなっている。


あたしは強く頭を振った。


なんだろう?


なにが違うんだろう?


わからない……。


それがわかれば何かが変わるかもしれないのに、物事の矛盾点を探す事ができないまま、あたしたちは部屋を出る事になったのだった……。
< 130 / 161 >

この作品をシェア

pagetop