絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
「昭代さんを見つけて殺害し、出口まで向かう……そんな時間、あるんですか?」


そう聞くと、優也さんはチラリとあたしを見て視線を前へと移動させた。


『殺害』という言葉がそぐわなかっただろうかと思い、口を閉じる。


「昭代さんはさっきのメンバーの中で一番ふくよかだった。そしてこの迷路は徐々に狭くなっている。それを考えると、見つけるのは案外簡単かもしれないよ」


「え?」


予想外の答えに、あたしはキョトンとして優也さんを見た。


すると、優也さんは立ち止まり、隣の鏡を指差した。


そこには微かにだけれど、人の血のようなものが擦れてついているのがわかった。


「俺たちはまだ2人で並んで進む幅があるけれど、昭代さんには1人分のスペースになっているんだろうな。


さっきから昭代さんの服についていた血が、鏡についているんだ」


「本当だ……」


あたしは呟くようにそう言った。


あてずっぽうで歩いていたわけではなかったのだ。


優也さんの冷静な分析力には、いつも感心させられる。
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