絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
その形相にあたしは思わず後ずさりをした。


「朱里、大丈夫か?」


「あ、あたしは少しびっくりしただけ」


翔吾の手を握りしめる。


春奈はイジメに加担していたと言っていたが、もしかしたらイジメのリーダー格だったんじゃないだろうか。


売春でお金を稼ぐのは確かに悪い事だけれど、理由を聞けば情状の余地があるように思えた。


でも、真実にほんの少し嘘を混ぜていたのではないだろうか。


そう思わせる一面だった。


「クソ! 開けろぉ!!」


春奈のその声が聞こえて来た時だった。


不意に春奈が動きを止めたのだ。


そしてその体はグラリと真後ろへ倒れた。


「嫌!」


その姿から咄嗟に目をそらす。


春奈は目を見開き、口から唾液を垂らした状態で少しも動かなかったのだ。


「おい……!」


慌ててルキが駆け寄り、春奈の首に手を当てる。
< 46 / 161 >

この作品をシェア

pagetop