絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
「じゃぁ話合ったのも全部意味ないじゃん」


桃乃がイライラしているのを隠そうともせずにそう言った。


「そんな事言っても仕方ないでしょ。部屋に入らないと何があるのかわからないんだから」


そう言うと、桃乃が鋭い視線を向けて来て、あたしは一瞬たじろいてしまった。


「あんた、自分の彼氏が選ばれなかったからホッとしてんでしょ!」


そう怒鳴り、胸倉を掴まれる。


想像以上の力で一瞬呼吸が出来なくなる。


「ホッとしてなにが悪いのよ!! あんただってそうでしょ!? あんたみたいな人間のクズなら選ばれて当然だけど、翔吾は違う!!」


桃乃の腕を引き離しそう怒鳴った。


ここまで感情的になったのは生まれて初めてかもしれない。


頭の中は真っ白になり、桃乃を罵倒しながら涙が流れた。


悔しい。


悔しい悔しい悔しい!!


その思いが止まる事なく、次々とあふれ出す。


「あたしと翔吾はこんな場所に来る人間じゃなかった!! あんたがあたしたちの将来を奪ったんだ!!」


気が付けば桃乃の上に馬乗りになり、その頬を叩いていた。


何度も何度も繰り返し桃乃叩き、その髪が千切れるほどに引っ張った。
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