絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
☆☆☆
相変わらず無機質で灰色の通路をあたしたちは無言のまま進んで行った。
《mother》という建物は外から見てもとても大きかったけれど、こうして歩いていると更に広さを感じた。
この建物の中で他にどんな事が行われていたのか、そう考えると背筋が急に寒くなった。
あたしたちは何も知らずに《mother》は犯罪の少ない生活のしやすい街だと思い込んでいた。
生まれた時に付けられるチップの存在を不思議に感じたことだって1度もない。
でも、こうして《mother》内部の現実を見てしまうと、この都市すべてが偽物に見えてくる。
生きやすいのは下位レッテルの人間たちが、ここで奴隷として働かされているからだ。
矯正施設なんて嘘っぱち。
一度下位レッテルを張られて連行されれば、もう出る術はないと思っていた方がいい。
「大丈夫か?」
翔吾にそう言われ、あたしはハッと我に返った。
「朱里、すごく怖い顔をしてるぞ?」
「……ごめん。《mother》がこんな場所だとは知らなかったから、すごく混乱してて……」
「あぁ。わかるよ」
翔吾は頷く。
相変わらず無機質で灰色の通路をあたしたちは無言のまま進んで行った。
《mother》という建物は外から見てもとても大きかったけれど、こうして歩いていると更に広さを感じた。
この建物の中で他にどんな事が行われていたのか、そう考えると背筋が急に寒くなった。
あたしたちは何も知らずに《mother》は犯罪の少ない生活のしやすい街だと思い込んでいた。
生まれた時に付けられるチップの存在を不思議に感じたことだって1度もない。
でも、こうして《mother》内部の現実を見てしまうと、この都市すべてが偽物に見えてくる。
生きやすいのは下位レッテルの人間たちが、ここで奴隷として働かされているからだ。
矯正施設なんて嘘っぱち。
一度下位レッテルを張られて連行されれば、もう出る術はないと思っていた方がいい。
「大丈夫か?」
翔吾にそう言われ、あたしはハッと我に返った。
「朱里、すごく怖い顔をしてるぞ?」
「……ごめん。《mother》がこんな場所だとは知らなかったから、すごく混乱してて……」
「あぁ。わかるよ」
翔吾は頷く。