絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
あたしは翔吾の頬を優しく撫でた。


その時、自分の手が小刻みに震えていることに気が付いた。


あたし、怖かったんだ。


桃乃を攻撃しながらも、本当はすごく怖かった。


翔吾を助けたくて、ただそれだけで桃乃を殺したんだ。


「ねぇ……目を覚ましてくれなきゃ、前に進めないよ……」


そんなあたしの声も震えていた。


桃乃からもらった一撃の打ち所が悪ければ、翔吾はこのまま目覚めいないかもしれない。


そんな不安が胸の中に渦巻いていた。


このまま翔吾が目覚めなくて、この部屋に置いていくことになったら?


想像するだけでも涙が出た。


それならあたしはここで翔吾と一緒に殺された方がよかった。


桃乃1人で《mother》を出るのは許せないが、翔吾がここにいるならあたしもここにいたかった。


「翔吾……」


滲んだ涙が翔吾の頬に落ちていった。


その時だった。


翔吾の目がうっすらと開いたのだ。
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