絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~①
背中を壁にピッタリとつけて、自分自身が逃げられないような体勢を作る。


「だから、翔吾があたしを……」


『殺して』


そう言い終わる前に翔吾が怒鳴り声を上げていた。


「バカな事言ってんじゃねぇぞ!!」


それは今まで聞いたことのない怒りを含んだ声で、あたしは体をビクッと震わせた。


「勝手に決めてんじゃねぇよ! 俺だって……お前を殺すなんて……っ!」


拳銃を床に置き、あたしの体を抱きしめる翔吾。


「でも……」


早く決めないと、ここで2人とも死んでしまう。


生き残れる可能性があるなら、翔吾に生き残って欲しい。


「翔吾、聞いて?」


あたしは翔吾の体をそっと自分から引き離してそう言った。


「義足でもサッカーはできるよ? 今まで以上の努力は必要かもしれないけれど、世界だって目指せる。翔吾の夢は、まだ終わりじゃないよ?」
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