オトナな部長に独占されて!?
「おい、お前、知ってるか?
葉月部長の伝説」
「伝説? なんすか、それ」
「新卒一年目で即、海外組なんて、エリートには違いないんだろうけどさ、あの人、当時真っ赤だったロンドン支社の売り上げを、一年で黒字にしたらしいぞ」
「マジスカ、すごいっすね!」
「入社2年目で係長、3年目で課長。
5年後にロンドン支社長が転属になる時に、後継は葉月にって、当時の支社長が本社に直訴したんだってさ。
そうしないとロンドンは潰れるとか言って」
コピーを取りながら何気なく聞いていた会話に、今は耳をそば立てていた。
異例のスピードで出世したのには、神業的な実力と実績があるということか。
その伝説が本当なら、
すごい……すごすぎる……。
コネとか、経営陣の身内とかいう理由の方がまだ納得いくのに、そんなエピソードがあるなら認めないわけにいかないじゃない。
男なんて……。
最近は特にそんな思いが強まっていたため、できる人らしい葉月部長と自分の気持ちに折り合いをつけることに苦労してしまう。
すると、背後の会話の流れも、違う方向へと流れだした。