オトナな部長に独占されて!?
斜めに傾けた端正な顔が、至近距離にある。
驚いて目を閉じることもできない私の視界は、葉月部長の瞳の色で埋め尽くされた。
唇の上には、生まれて初めての感触が。
柔らかくて、優しくて、温かくて……頭の中が真っ白になっていく。
上唇を食んで、下唇を食んで、やがて唇を割って入り込んだ舌先は、頑なだった私の気持ちを溶かすかのように、甘く優しく私の口内を撫で回した。
不思議……。
心臓は変わらず爆発寸前の勢いで動いて苦しいのに、気持ちがいいなんて。
体の奥がキュンと音を立てている。
心地よくて、全身がとろけてしまいそう。
足に力が入らずふらつくと、葉月部長の腕が背中と腰に素早く回され、引き寄せられた。
同時に唇が離され甘いキスは終わってしまったけど、こうして抱きしめられている状態もキスと同じくらいにドキドキする。
半年前まで心を覆っていた強固な壁は、少しずつ部長に崩されて、とうとう最後の1枚も壊されてしまった。
両手で濃紺のスーツをぎゅっと掴んで、丸裸になってしまった素直な気持ちを口にした。