オトナな部長に独占されて!?
結局、地味なままで見た目に何の変化もない私。
葉月部長と並んだら、美しさにギャップがあり過ぎて恥ずかしい。
部長は今のままの私が好きだと、言ってはくれている。
『私は共に戦える女性を求めていました。円香さんは理想的な女性ですよ』
そう言ってくれたから、このままでもいいのかもしれないけど、今まで女を捨てたような生き方をしてきた分、女性としての自信が持てないんだよね……。
キャピキャピと賑やかな声が近づいてくる。
営業部のドアから出て行くにはコピー機の前を通るしかないから、すれ違うのは確実だ。
「葉月部長〜、私が今関わっているクライアントさんのことで、ご相談したいことがあるんですけどぉ〜」
「森山さん、まずは第3営業部の杉野係長に相談してください」
「葉月部長〜、今日は駅前のカフェでランチにしません? 社食だと隣に座れないしぃ」
「萩野さん、外勤以外はなるべく社内にいるようにしたいので行けません。女子社員のみなさんで行ってください」
「葉月部長〜」
「ねぇ、部長〜」
『うるさいわーっ‼︎ 』と心で叫んで、バシンとコピー機に八つ当たりした。
すると、怒ったコピー機が、ガガガと物凄い勢いで印刷済み用紙を吐き出していく。
2部でいいのに、勝手に200部設定に変わっていて……。
あれ? これって確か、前にもやったような?
そう思ったところで、真後ろから長い腕が伸びてきて、停止ボタンを押して止めてくれた。