オトナな部長に独占されて!?



腹を立てないようにとさっき思ったばかりなのに、ムカムカいらいらした気持ちが湧き上がってきてしまう。


立花萌の『私は特別』発言に負けじと、他の若い女子社員達も、『私も部長には叱られたことがないです!』とアピール合戦を始めた。



悪かったわね、叱られて……。

昨日提出したプランも、やり直しって言われたしね。

あれもこれも、もう一歩と言われて、付き合い始めてから葉月部長は、ますます私に厳しくなったと自覚しているしね!



鼻息を荒くする私を見て、立花萌が笑っている。


「やだぁ、円香先輩ったら、闘牛みた〜い」


馬鹿にしながらさりげなく腕を伸ばし、葉月部長にボディタッチしようとしているが、それに気づいた部長にアッサリかわされていた。



葉月部長が二歩前に出て、私の隣に並んだ。


ん?と顔を見上げた私に向けてニッコリとイケメンスマイルをくれてから、周りを囲む女子5人にこう言った。



「私が高村係長を叱るのは、期待しているからです。

叱ることで、高村係長は成長してくれると信じていますので。

逆に、注意しても何の努力も改善も見せない方に対しては、無言でフォローするようにしています。

言うだけ無駄。そう判断されているのだとご理解ください。

とは言え、真面目に仕事をしないことをこれ以上放置するわけにもいかないですし、どうしたものでしょうね。

この仕事が合わないのだろうという分析結果を添えて、人事に提出するしかないでしょうか。

立花さん、午前中に終えるように指示した見積書は当然できていますよね?

午後イチで第二営業部の係長に確認しますよ」



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