オトナな部長に独占されて!?
立花萌は真っ青になって、「仕事してきますぅ〜」と逃げて行った。
他の4人の女子社員も、「みなさんの仕事は順調ですか?」と部長に聞かれて、慌てて自分の席に戻っていった。
馬鹿にしていた直後に、何よそれ……。
思わずプッと吹き出すと、葉月部長は人差し指を私の唇に当てて、笑わないようにと首を横に振った。
部長が人目を気にしながら、少しだけ私との距離を詰め、小声で囁く。
「私が円香さんに厳しくするのは、期待と信頼、それと愛情があるからです。
今後も厳しく指導しますが、付いてきて下さい」
葉月部長の気持ちは、言われなくても分かっている。
厳しいけど、それを嫌だと思ったことは一度もないよ。
赤くなりながら頷いて、私も小声で答えた。
「付いて行きます。今だけは」
「今だけ?」
「私は今、急成長中なんです。
いつか、立場が逆になるかもしれませんよ?
10年後の私はもしかすると……葉月部長の上に立っているかもしれませんね」