オトナな部長に独占されて!?
【無駄なコピーはやめましょう。
なるべく両面印刷で紙の節約を。
第二営業部 下山】
し、下山っ‼︎
ふんぬー、許せん!
私より出来ないくせに先に出世しやがって。
今度人事に聞きに行ってやる。
どういう理由での昇進ですかって、直接聞いてやるんだからね‼︎
あ……。
怒りに任せてコピー機のボタンを手のひらでバシンと叩いたら、印刷設定が変わってしまった。
2部でいいのに、200部に。
うそっ、どうしよ、止めないと……あれ? どこ押せばいいんだっけ⁉︎
プチパニックで使い慣れているはずのコピー機の使い方が、頭の中から吹っ飛んでしまった。
高速でガガガと吐き出される印刷済み用紙が、私の焦りをより一層加速させる。
コピー機の前で慌てふためく私。
すると、真後ろから濃紺スーツの長い腕が伸びてきて、誰かが停止ボタンを押して印刷を止めてくれた。
「あ、ありがとうございま……」
ホッとしてお礼を言いながら後ろを振り向いて、私の笑顔が固まった。
「葉月部長……」