オトナな部長に独占されて!?
諦めて隣で黙々と食べ始めた私に、下山は飯粒を飛ばす勢いで、転属先の宣伝広報部の話をしゃべる。
「それでねー、僕の企画書がダメって言われたからさぁ、課長に聞いてみたんだよ。どこが悪いんですか? どう直せばいいですか?って。
そうしたら、そのくらい自分の頭で考えろ、だって。冷たいよねー。
円香ちゃんなら、手取り足取り教えてくれて、手伝ってくれたのに。
あーあ、平社員でいいから営業部に戻りたいなぁ。
主任になんてなるんじゃなかったよ。
それからねー、円香ちゃんーー」
我慢……。
我慢だ、私……。
これはクレーム処理の練習みたいなものだ。
そう思って、耐えるんだ。
麻婆豆腐は大好きなのに、味わっている余裕が心になかった。
いらついたら、私の負け。
耐えろ、スルーしろと、いくら自分に言い聞かせても、イライラムカムカしてしまう。
下山は、いつもこう。
他人に依存しまくって、自分で考えて行動しようとしない。
そのくせ人に取り入るのが上手くて、私も下山の昇進が決まる前までは、「仕方ないヤツだなぁ」と、つい仕事を手伝ってしまった。