オトナな部長に独占されて!?
私の棒読みの台詞に下山はヘラヘラ笑いながら、「相変わらずつれないなぁ〜」と、荷物を抱えてドアに向かって歩き出した。
回転椅子の向きを机に戻し、仕事をしないとと自分に言い聞かせるけど、ボールペンが手の中でメキメキと音を立てていた。
一応『ガンバッテネ』と言ってあげたけど、内心では『あんたの頑張りなんて知らないわよ!』という思いだ。
下山は同期入社で、25歳という年も一緒。
同じ第二営業部に配属されてから二年半を共にしてきて、仲間としてそれなりに仲良くしてきた。先週までは。
同じ年齢でも下山は頼りなくて、出来損ないの弟という意識を持っていた。
仕事は断然、私の方ができる。
契約件数も顧客の信頼度も、私の方が上。
下山のミスや仕事の遅れを、同期のよしみで何度もフォローしてあげていた。
それなのに……。
我が社の昇進と部署移動は、年二回、4月と10月頭にある。
下山はこの10月に、ただのヒラ社員から主任というポジションに出世して、第二営業部から宣伝広報部へと移動になった。
奴より実力も実績も上で、ものすごーく頑張っている私はまだ、ヒラ社員なのに‼︎